どんなものでも、使い続けていると傷が入ったり破れたりするものです。
煙突も、使用しているとどこかに損傷が起きることがあります。損傷部分を放っておくと、大きな事故に繋がる危険性が高まります。
安全性を確保して使用していかなくては、現場で働いている人も周辺地域に住んでいる人も安心できないでしょう。
定期的に点検調査を受けて、早めに損傷部分を発見するように努めなくてはなりません。
点検の結果、補修工事が必要になることがあります。
補修のための煙突工事は、内部補修と外部補修に分けられます。また、コンクリート製のものか、鋼板製のものかによって、補修内容が異なります。
コンクリート製の場合、内側に断熱材として煉瓦が用いられます。煉瓦は時間が経過していくと、高温の排ガスの熱によって膨張収縮が起こります。
また、排ガスの圧力などによって煉瓦そのものに亀裂が入ることがあります。
煉瓦の目地のモルタル部分が剥落することもあります。モルタルとは、砂とセメントと水でできた材料です。
亀裂の隙間を放っておくと、そこから高温の排ガスがコンクリートに直接届いてしまいます。
そもそも、コンクリートを熱から守るために煉瓦が使用されています。コンクリートは熱によって膨張収縮を起こし、コンクリートの外部に亀裂が入る可能性があります。外部に亀裂が入ってしまっては、非常に危険です。
煉瓦そのものの亀裂やモルタル部分の剥落などについては、キャスタブル(不定形耐火物)や新たなモルタルなどを充填して、補修を行っていきます。
補修物もまた、時間が経てば劣化していくものです。定期的に補修工事も行っていくものと考えておいたほうが良いでしょう。
煉瓦の亀裂や目地のモルタル部分の剥落以外に、煉瓦そのものが脱落することがあります。脱落した場合は、古い煉瓦を撤去し、新しい煉瓦を積み替えていきます。
コンクリートの外部に亀裂が起こった場合、コンクリートの内部にある鉄筋が錆びていきます。そして錆が膨張することでコンクリートが押し出されてしまいます。高い位置からコンクリート片が落ちてきたら、非常に危険です。
コンクリート外部の亀裂が発見されたら、急いで補修しなくてはなりません。
外部の亀裂が小さい場合は、シリコーンを充填して補修します。亀裂が大きい場合は、補修用のモルタルを使います。
外部コンクリートが剥離したときは、まず、コンクリートの浮き上がった部分を取り除きます。下地を調整し、補修用モルタルを用いて補修します。
外部の亀裂が生じる原因として、内部の煉瓦の劣化が挙げられます。しかし、内側ほど、外から点検しにくいものはありません。やはり、定期的な点検調査で、まずは内側の損傷を早く見つけて補修することが、外部の亀裂を防ぐことに繋がるでしょう。
鋼板製の場合、腐蝕が起こることがあります。排ガスの成分や水などの影響を受けて、少しずつ腐蝕してしまうのです。
腐蝕が進むと穴が開くことがあります。穴に気がつかないで使用を続けていると、当然、排ガスは穴から漏れていきます。さらに放置すると、煙突が座屈してしまうことがあります。
鋼板製はコンクリート製に比べると工期が短くて済みます。そのため、建て替えも容易だというメリットがあります。だからといって、壊れるまで使う、という考え方は危険です。腐蝕をそのままにしておくと、当然、周囲に危害が及ぶことがあるでしょう。
腐食部分の補修方法として、新しい鋼材を溶接取り付けする方法があります。穴が見つかったら、早急に補修の煙突工事を行うことが大切です。
補修工事以外に、どのような工事があるかというと、補強工事や改修工事です。
補強工事は、構造体の災害に対する耐久性を上昇させるための工事です。
たとえば、耐震性能を向上させるなら、鋼板を巻いて補強することで粘り強い構造体にします。コンクリート増し打ちを行うことで強度を向上させる方法や、改修工事でコンクリートを解体撤去することで重量を軽減させるといった方法もあります。
いずれの工事においても、もっとも大切なことは安全性です。
日々の使用で、少しずつ、構造体は劣化していくものです。どれだけ素晴らしい素材を使っていたとしても、排ガスに晒され、ときに自然災害に遭っていたら、ダメージは蓄積されていきます。
だからこそ、定期的な点検調査が大切になるのです。見えない部分で損傷部分が拡大していることもあります。もちろん、目で見て判断することができるような損傷については、急いで補修しなくてはなりません。
補修だけでなく、もっと安全性を高めたいという場合は、補強工事や改修工事を検討しましょう。点検調査の際に、調査員に相談してみるのも良いかもしれません。
補修工事で必要最低限度の安全性を確保し、補強工事や改修工事によってさらに構造体を強めることができます。
自然災害などに強く、安心して使用していくことができるような煙突にしていきましょう。